デビュー作『ホルスの大冒険』ですでに農耕のすばらしさを描いた高畑監督らしい設定。ファンタジックな処理も多分になされている。声の出演は今井美樹と柳葉敏郎。ベット・ミドラーの『ローズ』を翻訳したエンディング・テーマを都はるみが歌うなど、音楽効果も凝っている。27歳のOLタエ子が山形の義兄の実家へと一人旅し、そのさなかにかつて小学校5年生だったころの自分を回想していく。ひとりの女性の生きざまを露にしていくと同時に、彼女が行き着いた村で行われる有機農業の美徳を説きながら、田舎と農業を礼讚していく。
原 作:岡本 螢・刀根夕子(徳間書店・青林堂刊)
脚本・監督:高畑 勲